
ねこ構文アレルギー
余暇ユメ
ひねくれ心をこじらせたあまり、社会を駆け抜ける上で必要とする様々なキャッチボールをなんだか普通にこなせず下手くそに日々を生きる、26歳社会人によるエッセイ集。ZINE版から新たな章を加えて再構成しました。
“ねこと本と。みたいな構文が、個人的に好きになれない。ゆるいコットンのワンピースを来て、自分ひとり用のシチューを作る人の腕の中には、ねこ。麻の布と、ねこ。散歩と、のらねこ……おい、ねこら、知ってるか。知らないところできみたちは利用されているんだ。”(表題作より)
書誌情報
著者 余暇ユメ
表紙デザイン SUYASUYARI
発行元 ユトリト
サイズ A6(105mm × 148mm)/128P
発行日 2025年5月11日
価格 1,000+税
販売店
鴨葱書店(京都)・UNITÉ(東京・三鷹)
*上記2店舗およびイベントのみでの取り扱いです。
書店様へのご案内は今年中に開始予定です。
余暇ユメ
1999年生。ふだんは大阪・靱公園付近の広告制作会社でコピーライターとして邁進中。タスクを3以上溜めると番狂わせが起こり、気づけばホットケーキを焼いていたりするタイプ。好きなこと・ものは(絞りがたいが)、野菜の千切り、車の運転、一人旅で食べる朝ごはん、白ワインとグリュイエールチーズ、犬、大掃除、蛇口の写真集めなど。自分と社会をつなぐのは言葉なんだと信じたくて、エッセイを書いています。
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編集記
ユメさんに出会ったのは2024年の文学フリマ大阪。ユトリトメンバーの大森さんが「これ、読んでみてください」と手渡してきたのが『ねこ構文アレルギー』(ZINE版)でした。ためしにページをめくってみると、軽妙な文章がするすると自分の中に入ってきて、お客さんに声をかけられるまでその場で思わず読み進めてしまったことを覚えています。
家に帰ってからじっくり読んでみると、軽妙さの背後には湿度の高い感情の揺れ動きがあることを感じました。そうしたものを書こうとすると、たいてい情緒的に、あるいは哀しみや怒りの表現になることが多いですが、ユメさんはむしろ喜劇的にあっけらかんと書き切ってしまう。なるほど、ユメさんの文章の妙は「なにを/どうやって書くか」という翻訳作業にあるのだと思いました。言葉の表現の可能性を提示することを目指すユトリトとの相性はピッタリかもしれない、と。そして翌朝、「ユトリトでぜひご一緒したいね」と大森さんに本を返し、ユメさんに連絡したのでした。
今回、書籍化にあたって各章を加筆修正するとともに、ユメさんがエッセイを書く理由を綴った「暫定の天啓」を新たに追加しました。また、デザイナーのSUYASUYARIさんに手がけていただいた表紙デザインにも注目です。
“私が自分の経験をエッセイにするのは、あまりに至らない自分をコンテンツ化することで、誰かの共感を集めたり、面白がってくれる人を見つけ、過去の自分のやり場のないやるせなさをどうにか慰めたいと思ったからだーー”(「暫定の天啓」より)
この本を読めば、きっと「文章を書く」という営みの視点が拡がると思います。文フリ東京40でお披露目、その後しばらくは三鷹のUNITÉと京都の鴨葱書店で限定販売します。制作はユメさんとともにさいごのさいごまで粘りました。ぜひ手に取ってみてください!
(椋本)